不服申立手続
Appeals Procedure
不服申立手続税務署長等の処分に不服があるとき
納税者と税務署の主張が真っ向から対立することになり、税務署長や国税局長が、更正・決定処分、差押え等の滞納処分等を行った場合には、その処分の取消や変更を求めて、不服申立てをすることができます。
不服申立てをする相手方は、①処分を行った税務署長や国税局長(原処分庁)、②国税不服審判所長となります。
①に対しては、異議申立(行政不服審査法3条)を行います。処分を受けた日から2ヶ月以内に異議申立をしないと、不服申立てができなくなってしまいます。
②に対しては、審査請求(行政不服審査法5条)を行います。①異議申立に対する異議決定があった場合と、3ヶ月を経過しても異議決定がない場合に請求することができますが、異議決定があった日から1ヶ月以内に審査請求をしないと不服申立てができなくなってしまいます。
国税不服審判所の裁決に不服がある場合、あるいは3ヶ月を経過しても裁決がない場合には、地方裁判所に取消訴訟を提起することになります(行政事件訴訟法3条1項)。裁決があった日から6ヶ月を経過すると、訴えを提起できなくなってしまいます(行政事件訴訟法14条1項)。
このように、税務署の処分に不服があるときは、不服申立てをする相手とその順序や、期間が制限されているので、注意が必要です。
異議申立や審査請求の段階で、納税者側の主張が通る可能性はかなり低いので、事前に裁判所に訴訟を提起することまで考慮して不服申立てを検討することになります。
延滞税
税には(国税に関する法律により国税を納付すべき)法定納期限が規定されていて、法定納期限が納期限(実際にいつまでに納付すればよいのかという期日)となっている場合がほとんどです。
納期限よりも納付が遅れてしまうと、法定納期限の翌日から完納する日までの日割計算で延滞税が発生します。延滞税の税率は、なんと年14.6%。消費者金融並みに高いので、納期限までに納付することをお勧めします。
納期限の例は、次のようになります。
- ■ 期限内申告 → 法定納期限 = 納期限
- ■ 期限後申告、修正申告→申告書提出日 = 納期限
- ■ 更正・決定 → 更正通知書を発した日から1ヶ月後の日 = 納期限
法定納期限から納期限までの期間、納期限の翌日から2月を経過する日までの期間の延滞税の税率は軽減されています。(原則として、年7.3%ですが、特例基準として日銀の基準割引率(前年の11/30時点)+4%のいずれか低い割合を適用できます。(国税通則法60条、措置法94条))
期限内申告書の提出後、1年以上経過してから修正申告をした場合や更正処分があった場合は、少し注意が必要です。
上に書きましたように、(1)修正申告書を提出したときは提出日が納期限に、(2)更正があったときは更正通知書を発した日から1ヶ月後の日が納期限になりますので、(1)修正申告書提出日から2ヶ月、(2)更正通知書を発した日から3ヶ月、までは軽減税率が適用となる期間になります。
ただし、法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日までは、延滞税の計算期間から除外されるという、延滞税の免除期間があります(国税通則法61条)。
*重加算税が課されない場合
したがって、修正申告をした場合には法定納期限から最大で1年+2ヶ月、更正の場合には法定納期限から最大で1年+3ヶ月(通知から1ヶ月、納期限から2ヶ月)、の期間について軽減税率の適用があることになります。
…ということで、結論です。
1
法定納期限までに申告を行い、納付も済ますのが一番です。延滞税の税率はかなり高いです。2
修正申告や更正の場合には、実際に納付するまで日々延滞税が発生していきます。修正申告をする場合には申告書を提出する日に、更正を受けたときはその後速やかに(少なくとも2ヶ月以内に)本税を納付しておくことをお勧めします。3
更正処分を受けたときに、不服申立てを検討する場合でも、ひとまず本税を納付しておく必要があります。