組織再編
Overview of Reorganization
組織再編の概要最近では、株式譲渡、事業譲渡、合併や分割といったことが珍しくないものとなっています。
ここでは、できるだけ分かりやすい形で、これらの手法がどんなものなのかご説明していきたいと思います。
まず最初に、M & Aの基本類型にはどんなものがあるか見ていきます。
このように、M & Aを行うために複数の方法をとることができます。 したがって、次の点を検討して最適な方法を選択することが必要となります。
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株式譲渡もっとも簡単に会社の支配関係を変える方法は、株式の譲渡です。買収会社が対象会社の株式を取得するというシンプルな方法で、対象会社を支配下に移すことができます。
※Y社株主からY社株式を譲り受け、その対価を支払うことで、Y社をX社株主 の所有、またはX社の子会社とします。
■株式譲渡後の支配関係は、次のようになります。
※このように、株式譲渡の場合には、株主構成が変化するのみとなり、Y社に はなんら影響は生じません。資産・負債も、雇用関係、許認可もそのままY社 に帰属します。したがって、非常にシンプルな方法です。
■株式譲渡のポイントは、次の点です。
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
手続の煩雑さ | ◎ | 非常に簡便 |
許認可 | ◎ | 対象会社の許認可はそのまま利用可能 |
法的リスク | △ | 対象会社の潜在債務も承継 ※買収後訴訟となるケースあり |
雇用関係 | △ | そのまま承継 |
課税関係 | ◯ | 対象会社株主(個人株主)に譲渡益課税 ※株式の時価と対価の関係で課税リスクあり |
買収会社のメリット | X | 子会社株式となるので対価の減価償却は不可 |
- ※株式譲渡はシンプルな方法で、個人株主にとっても譲渡益課税(非上場株式で 所得税15% + 地方税5%)となり有利であることが多いが、買収会社にとっては子会社株式となるため減価償却ができないという問題があります。
- ※許認可や雇用をそのまま利用したい場合には有効な方法となります。
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事業譲渡事業譲渡は手続が煩雑でコストもかかります。しかし、株式譲渡にはないメリットがあります。
■事業譲渡は、買収会社が対象会社から個別に資産・負債の譲渡を行う方法です。
※Y買収会社Xは、欲しい事業(資産・負債・契約等)のみを事業譲渡契約により対象会社Yから購入するため、不要な部分や潜在的な債務を承継せずにすみます。
■事業譲渡後は、次のようになります。
- ※このように、事業譲渡の場合には、株主構成には影響が生じません。資産・負債は個別に移転するので、買収会社にとっては減価償却ができるというメリットがあります。
- ※しかし、登録免許税2%(現行1%)や不動産取得税4%(買収会社)、消費税(対象会社)、印紙税(60万円以下)がかかります。また、雇用関係も解雇→再雇用か従前の雇用契約の承継という手続が必要となるなど、煩雑です。また、対象会社の許認可を引き継げません。
■事業譲渡のポイントは、次の点です。
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
手続の煩雑さ | X | 非常に煩雑 |
許認可 | X | 対象会社の許認可を引き継げない |
法的リスク | ◎ | 対象会社の潜在債務は承継しない |
雇用関係 | △ | 解雇→再雇用か、雇用契約の承継(労働者の個別の承諾必要) |
課税関係 | △ | 対象会社株主(個人株主)には課税なし各種課税あり |
買収会社のメリット | ◎ | 資産の減価償却が可能資産調整勘定利用可 |
- ※事業譲渡は、買収会社にとって法的リスクを抑えられ、節税面で大きな効果が期待できますが、手続が煩雑で複数税目の課税がありますので、株式譲渡に比べてコスト(税務コスト、時間コスト)がかかります。
- ※許認可や雇用をそのまま利用できません。